会報誌・院長コラム
院長コラム
むくみやだるさ、冷えと
動静脈瘻(抜け道血管)2016.3.27
「むくみやだるさ、冷えといった足のトラブルは、すべて足の甲で起こっていたという新事実を発見。」「足の甲を巻けばむくみは治る!」(佐藤 達朗・サトウ血管外科クリニック院長より)
足のむくみと冷えは、同じ原因から起こります。 足の静脈には、大・小伏在静脈というものがあり、この2本の静脈は、足の甲でアーチ状につながっています。(図1) 足の甲のアーチ状静脈には、動脈と静脈をつなぐバイパスのようなものがあり、これを動静脈瘻(抜け道血管)といいます。(図2)
この抜け道血管は普段は閉じているものなのですが、あるきっかけで開いてしまい、静脈の中に動脈の血液が大量に流れ込むことがあります。これを「抜け道血管の暴走」といい、この「抜け道血管の暴走」が冷えやむくみの原因となります。
抜け道血管が暴走すると、足の甲の部分で血液が逃げてしまうため、足先まで届くはずの血液が充分に行き届かなくなります。結果、この血流の低下が冷えの原因となります。また、動脈の血液が大量に静脈に流れ込むと足の静脈圧が上昇し、(図3)血液の液体成分である血漿(けっしょう)が静脈壁からしみ出てリンパと呼ばれるものになります。このリンパが足のむくみの原因となります。(図4)
「抜け道血管の暴走」が起きやすくなるのは、次のようなときです。
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気温が高い時や、足を温めた時
夏場は足がむくみやすいです。足湯など足を温める行為は一見効果的に思えますが、その後足が冷めると逆に足先は冷えてしまいます。
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気圧が低い時
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飛行機の中や、梅雨や台風がきた時。
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就寝時
布団に横になると、抜け道血管が開くため、足先は冷えて、朝から足はむくみます。
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生理中、生理不順、更年期
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静脈の流れが悪いとき
足のむくみと冷えを防ぐには、適度な運動やバランスの良い食事など生活習慣の改善を心がけ、抜け道血管が開く原因をできるだけ無くす事が大切です。
また、抜け道血管がある足の甲を圧迫するのも効果的です。(図5) この足の甲部分を適度にテーピングし圧迫すると、抜け道血管の暴走を防ぐことができ、むくみや冷えが改善されることがあります。
足の甲を包帯等で、ややきつめに巻き、歩いてみて下さい。足は瞬く間に軽く、足先は温かく感じられると思います。
また、就寝時にテーピングをすれば足先の冷えは解消さ れ、朝をスッキリとした気持ちで迎えられることでしょう。
こちらはサーモグラフィーを用いた写真です。足の甲テーピングによって、冷えが著明に改善していることが分かるかと思います。(図6) しかし、足の甲テーピングは、静脈瘤の治療ではありません。静脈瘤が悪化していると足の甲テーピングをしても効果がなかったり、足の皮膚が痒くなってくることがあります。また、冷えが進行する場合は、レイノー症や膠原病などの疑いもありますので、何か気になることがあれば医師に相談したり適切な治療を受けることが大切です。